事業・ビジネスの構成要素

起業すると、誰もがいきなり経営者になります。
そして、自分の事業・ビジネスを始めることになります。
「事業・ビジネス」と聞いて、どんなことをイメージするでしょうか?
真っ先に思い付く内容は、「商品・サービスを売ること」ではないかと思います。

一見、とても単純なことのように思いますが、実はその裏にはいろいろな要素が含まれています。
それをわかっているかどうかで、自分が起業をするにあたって、何をすればよいのかが、整理されやすくなります。

起業について調べようとすると、販促や営業のための準備物や売上を上げるためのテクニック的な知識ばかりが出てきます。
でも、まずは事業・ビジネスの構成要素と全体像を理解しておくと、自分には何が足りなくて、この先何をすべきなのかが明確になるので、迷走せずに済みます。

ということで、ここから先は、事業・ビジネスの全体像がイメージできるように、事業・ビジネスの構成要素について、簡単に説明していきたいと思います。


事業・ビジネスの3大柱

事業の構成要素

事業・ビジネスの構成要素を大きく3つに分類すると「製造・営業・総務」になります。
この分類は、昔から父がよく言っていたのですが、元々誰が言い出したのかは、調べても出てこないので、よくわかりません。
ただ、会社のイメージで考えた時、この分類が理解しやすいのではないかと思います。

これらの要素をざっくりと説明するとすれば、以下のような感じになります。

事業・ビジネスの3大柱

  1. 商品・サービスを作る「製造」部門
  2. 商品・サービスを売る「営業」部門
  3. ヒト・モノ・カネ・情報の管理と運営を行う「総務」部門

これらのイメージを頭に置きつつ、事業・ビジネスを行うために何をしたらよいのかを具体的にしていきます。

(1)製造

まず、「何を売るのか」を考えます。
商品・サービスそのものに関わる部分です。
コンセプトの設計や企画、研究・開発、取扱商品の選定、品質改善などが含まれます。
売るものがないと、ビジネスが始まりませんので、自分の商品・サービスを何にするのかを決めることが必要です。

(2)営業

次に、「どのように売るのか」を考えます。
どんなに良い商品・サービスを持っていたとしても、勝手に売れるということはありません。
まずは商品・サービスの存在を知ってもらい、それらの魅力を伝える必要があります。
営業、マーケティング、集客、販売促進、ブランディングなどが含まれます。
売上の大きさを決める重要な要素です。

(3)総務

最後に、「どのように管理・運営するか」を考えます。
事業・ビジネスを行うとなると、いろいろなことを管理する必要が出てきます。
どこまでやるかは自分次第ですが、少なくとも、お金の管理は必要です。
税法上、「確定申告」は避けられませんので、売上はいくらあって、何にいくら払って、資産をいくら持っていて、借入金がいくらあるのかなどを管理しなくてはなりません。
また、必要であれば、契約や手続きを行ったり、人に作業を依頼する場合には、雇うのか、外注するのかなども考えたりする必要があります。
業務をスムーズに行うために、システムを構築したり、マニュアルを作成したりするのも重要なことです。

事業の3大柱

3本柱をベースにした、具体的な考え方

具体策

このように、事業・ビジネスでは、この製造・営業・総務の3つが必要です。
ここを理解していないと、自分に何が必要なのかを見誤り、間違った選択をしてしまうことがあります。
逆に、この3つを理解していると、適切な対策を考えやすくなります。

例1)
「資格を取得できたので、いざ独立だ!」と思って開業したところ、まったくお客さんが来ません。ここで、「もっと難しい資格を取らないと勝負できないんだ」と思い、さらにお金をつぎ込んで、資格を増やします。しかし、状況は変わりません。
このような場合は、資格取得によって得た商品・サービス、つまり「製造」の問題ではなく、集客、つまり「営業」の部分に問題があるので、こちらの対策を取る必要があります。

例2)
「起業にはマーケティングが重要だ!」と聞きつけて、真っ先に高額な「マーケティング講座」に申し込んだものの、何を売るかも決めていないので、話を聞いても、何をどうしたらよいのか、具体的にイメージができません。
このような場合は、「営業」部分のテクニックを磨く前に、自分の商品・サービス、つまり「製造」部分を決める必要があります。
こちらが暫定的にでも決まっていると、教材や講座などを検討する際も、より適切なものを選ぶことができます。

例3)
「オリジナル商品を開発したので、販売しよう!」と、実店舗とネットで販売を開始したところ、接客や問い合わせの対応、仕入れや売上の管理、発送の手配など、あまりにもやることが多くて、自分の身ひとつでは間に合いません。
このような場合は、「総務」の部分について、人材の補充やシステム化などの改善を図ることになります。

製造・営業・総務の3つを理解していると、行き詰まった時に、どこが問題なのかのあたりをつけやすくなります。
3つのうちのどこかが欠けていると、事業・ビジネスがうまく進んでいきません。
「理想を叶える起業設計法」に沿って自分の理想を具体化したら、今度はその理想にあてはまる形で、この製造・営業・総務の3つを考えることが必要です。

ここで、もう少し具体的に、例を出して考えてみたいと思います。
たとえば、在宅で時間を気にせずできる、商品の転売ビジネスをやってみようと考えたとします。

調べてみたところ、カメラのニーズがありそうなので、ジャンルはカメラ関連にして、商品はヤフオクやAmazonで仕入れることにしようと決めます。これが「製造」部分です。
次に、売るのはメルカリとebayにしようと決めて、商品ページに記載する目を引きそうなタイトルや、商品の魅力が伝わる説明などを考えます。これが「営業」部分です。
最後に、売上を管理する表を作成したり、売れ筋を分析するシステムを導入したり、やりとりのメッセージをテンプレート化したり、商品の発送を外注化したり、効率的に管理・運営する方法を考えます。これが「総務」部分です。

細かく決めなくても、大体のイメージが描ければ問題ありません。
よく「好きなことを仕事にする」と言いますが、いきなりそこから始めると、この3つを検討した時に行き詰まるケースが多いです。
商品・サービスは決まっても、その売り方や管理を考えた時に、それなりの知識やコストが必要だったりするからです。
そういう意味では、少しハードルが高いと言えます。

なので、まずは興味を持てそうな分野で、この3つを成り立たせるイメージができるところから、自分の事業・ビジネスを始めてみるのがおすすめです。
だんだんと知識やスキルをつけながら、自分のやりたいことの構想を膨らませ、シフトしていく、この流れの方が安全で確実です。

トップに戻る