誤認情報だらけな食品の現実

誰でも、できることなら健康でありたいと思っています。
身体の細胞は食べたものからしか作られないので、健康の基本は「食」です。
ただ、誰もが食の知識について詳しく調べるわけではありません。
それをいいことに、自然と私たちの目に飛び込んでくる食品の情報は、驚くほど事実を誤認させるようなものだらけです。
健康のためと思いながら、不健康になる選択をしてしまっている人がたくさんいます。

不健康な選択をしないことが、健康への第一歩です。
ということで、ここからは、「実は身体に悪いのに、健康そうにしか見えない食品」の例をいくつかご紹介しつつ、食品を選ぶ時の重要な視点をお伝えしたいと思います。


ゼロカロリー・カロリーオフ

ゼロカロリー

見るからにダイエットに効果がありそうなこれらの表示。
他にも、低カロリー・糖質オフ・砂糖フリーなどがあります。
砂糖=悪、カロリー=悪という前提のもと、これらを排除することで、太ることを避けられるかのように思わされます。
砂糖が入っていないのに、普通に甘くて、ダイエットにも効果的となれば、願ったり叶ったりです。

ただ、話はそう単純ではありません。
確かに、砂糖は使っていない。カロリーも低い
そこだけ見れば有益ですが、それを成り立たせるための裏側については、何も教えてくれません。

砂糖を使わない代わりに、甘みを出す役割をしているのは、人工甘味料です。
有名なものには、「アスパルテーム」「アセスルファムリウム(アセスルファムK)」「スクラロース」などがあります。
これらは、砂糖の数百倍の甘みを可能にします。
砂糖と比較した時の甘みは、アスパルテームが160~220倍、アセスルファムKが200倍、スクラロースが600倍です。
付加価値も高めつつ、圧倒的に安上がりで、メーカー的には素晴らしい商品でしかありません。
一方の消費者も、身体に良いことをしたと満足し、Win-Winが成立しています。

しかし、実際のところ、人工甘味料は身体に悪影響があるものとして、以前から危険視されています
人工甘味料に関する論文の92%が有害作用を報告しているそうです。
その悪影響は、「砂糖で太る」以上のものです。
今回は詳しく書きませんが、人工甘味料は本来身体が持っている機能を阻害し、腸内環境を悪化させたり、脳や心臓などにも悪影響を及ぼしたり、思わぬところで悪さをします。
そして、長期間摂取することによって、糖代謝などに影響を与え、最終的には、本来のダイエット目的も果たされることなく、逆に太るという残念な結果になってしまいます。

一見、身体に悪いものが排除されているように見える商品も、その代わりにもっと悪いものが入っていることがよくあります。
「無添加」という言葉も、安全そうな響きに惹かれますが、よくよく原材料表示を見てみると、何かが無添加になっている代わりに、似たようなものが入れられており、大差ないことがあります。

何より悲しいのは、イメージに惑わされて、実は質の低いものを、高い価格で買ってしまっていることです。残念過ぎます。
だからこそ、一見明らかに良さそうに見えるものには注意が必要です。


トクホ(特定保健用食品)

トクホ

トクホと言えば、消費者庁のお墨付きなので、間違いなく健康に良いイメージです。
特定の食品や成分が、健康の維持増進に役立つ科学的根拠を示すことが許可の条件とされており、これがお墨付きの裏付けになっています。

ただ、これも、ゼロカロリー・カロリーオフと大して変わりません。
健康に役立つ成分が一定量入っているのでOKとされていますが、あくまで根拠はその部分だけです。
商品のすべてが安心・安全な成分でできているというわけではなく、トクホの飲料でも、人工甘味料が普通に使われていたりします。

これを人間で例えるとすれば、「健康診断で血液検査の値が良かったので健康です」と言っているようなものです。
血液に関する項目は正常値でも、他の臓器でトラブルが起きていれば、健康とは言えないはずです。
結局、部分に焦点を当てた話であって、全体での話というわけではないということです。


食品を選ぶ時の重要な視点

食品を選ぶ

今回、わかりやすい例を2つ挙げましたが、世の中には、健康に良さそうに見せておきながら、実際はそうではない商品がたくさん存在します
なぜかというと、「ビジネスのため」です。

どの企業も、広告・マーケティングにかなりの力を入れていますが、実際のところ、商品力がなくても、見せ方さえ上手にやれば、売れてしまうのが現実です。
なので、どの企業も躍起になって、消費者が勝手に効果を期待して買ってくれるようなキャッチコピーやパッケージデザインを必死に考えます

ただ、健康に関する内容は、薬機法の関係で表現の制限が多いので、医薬品でもないのに、特定の病気や症状に効果があるような書き方をすることはできません
その点、トクホは、効果を謳う一定の文言を記載することが許されています。
これが商売上、ものすごい威力を発揮します

だからこそ、企業はたくさんの手間とお金をつぎ込んででも、トクホの許可が欲しいのです。
消費者からすると、「健康な食品がわかって便利」と思うところですが、裏には、このように、効果的に販売するための思惑と認証ビジネスがあるわけです。

この事実がわかった上で、冷静に商品たちを見てみると、パッケージに、いかに情熱的なアピールが盛り込まれているかがわかります。
一瞬にして私たちの心を惹きつけるその表現は、商品以上に研究されたんじゃないかと思うほどの抜群の威力です
企業努力には感心するところですが、だからと言って、これに惑わされてはいけません。

食品を選ぶ時、リーズナブルな価格でありながら、いかにも健康に良さそうな、魔法のような商品に出会ったら、それは効果がないか、むしろ身体に悪いと思って避けた方が安全です。
どんなに良さそうに思えても、よくよく見れば、具体的に何かに効果があるとは書かれていないはずです。
そのような印象を与えようとしているだけです。

原材料を確認するのが1番ですが、こういった食品は、実際よりも価値が高く見えているということを認識した上で、本当に選ぶべきか否かを判断することが重要です。

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